MikuMikuVoice説明書
0、 はじめに
本ツールは、音声Waveファイルから基本周波数と音量を抜き出し、それぞれPitchBendとDynamicsに変更して
Vocaloidシリーズ用のVsqファイルに出力するツールです。
実際にWaveファイルを聞きながら音節を入力することによって、Vsqファイルでの音程を自動的に設定します。
かなり使えないツールですので、過度の期待はしないでください。
1、 画面説明
① 波形画面 : Waveファイルの波形が表示されます
② 音節画面 :
入力した音節が表示されます
③ 基本周波数画面 : Waveファイルの基本周波数が表示されます
④ 音量画面 :
Waveファイルの音量が表示されます
⑤ 拡大・縮小 : 各波形画面の横軸(時間)を拡大・縮小します
⑥ 直前 :
Waveファイルを再生。選択範囲(暗緑)の開始1秒前から開始直前まで
⑦ 再生 : Waveファイルを再生。選択範囲内を再生(選択範囲に幅が無いときは、開始位置から最後まで)
⑧
直後 : Waveファイルを再生。選択範囲の末尾から1秒間
⑨ 停止 : Waveファイルの再生を停止します
⑩ 追尾 :
再生位置が画面中央に来るように各画面をスクロールします
⑪ 発音 : 音節登録時に音節の発音を記入します(ひらがなで入力して下さい)
⑫ 登録 :
選択範囲(暗緑)を音節として登録します
⑬
削除 : 選択中の音節(赤色)を削除します
⑭ 最小・最大 : 基本周波数計算時の計算範囲を設定します
⑮ 再計算 :
基本周波数を再計算します
2、 基本操作
①
Waveファイル読込
まず初めに、『ファイル』メニューから『waveを開く』を選択し、Waveファイルを読み込みます。
読み込むWaveファイルは、音声のみの物を用意して下さい。伴奏や雑音が多いと、基本周波数が正確に計算できません。
Waveファイルはモノラル・ステレオどちらでも構いませんが、ステレオの場合は左側のみを元に各計算が行われます。
②
基本周波数計算
Waveファイルを読み込むと、自動的に基本周波数の計算が開始されます。 計算にはかなり時間がかかります。
計算が終了すると、各波形画面に波形が表示されます。
③
基本周波数計算範囲設定
基本周波数は、デフォルトでは100Hzから800Hzで計算されます。この値は女性の声に合わせたものです。
男性の場合は、『最小・最大』窓で、60Hzから400Hzに設定して、『再計算』ボタンを押して下さい。
Waveファイルに雑音が多く、声とは別の周波数を拾っている場合には、計算範囲を変えることにより消える場合があります。
④
音節登録
波形画面をマウスでドラッグすることにより、選択範囲を設定します。選択範囲は暗い緑色で表示されます。
再生ボタンは3種類あり、それぞれ選択範囲の直前・間・直後を再生しますので、波形を拡大・縮小して音声を
実際に耳で聞きながら個々の音節の範囲を選択します。
上の波形は、”さ”と発音している部分です。基本周波数は、有声音しか拾えず、無声音は拾えません。
”さ”の子音部分、”S”の部分は基本周波数が取れていないことが判ります。
このような場合、”さ”の音節の範囲をどこに設定するかなのですが、Vocaloidでは子音を発音する場合、母音の開始が
耳に聞こえ始めるタイミングと捕らえて、音節開始の若干前から発音を開始するという特徴があります(特許技術の1つ)。
つまり、母音部分を音節”さ”の開始として設定してやれば良さそうな気がしますが、実際に試してみるとそれでは遅すぎる
事が判ります。音節開始後にも子音部分が掛かっているようです。
経験上、子音区間の2/3の点から音節を開始すると丁度合うように感じます。
子音の2/3の位置から(あいうえおの場合は音の先頭から)選択を開始し、音が聞こえなくなるまでを選択します。
そこで、『発音』窓にその音節の発音を入力(上の場合は”さ”)し、『登録』ボタンを押します。
発音は、Vsq出力時はひらがなしか正確に変換できません。ひらがなで入力するか、Vocaloid
Editor側で書き直すかして下さい。
⑤
音節の調整
音節は、音節窓でクリックしてやることにより選択状態になります。
選択状態の音節は、端をマウスでドラッグすることにより長さを変更することができます。
また、すでに選択状態の音節をさらにクリックすることにより、波形の選択範囲を音節に合わせられます。
音節登録は、範囲が重なる場合には新たに登録はできません。重なる音節の長さを変えるか、削除するかして下さい。
発音を変更したい場合には、音節を2回クリックして選択範囲を決めておき、『発音』に変更したい発音を入力後、
『削除』→『登録』
して音節を置き換えることによって行ってください。
⑥
基本周波数の調整
伴奏付き音楽から音声を抜き出した場合、雑音から明らかに音声ではない部分の周波数を取り込んでいる場合があります。
そのような場合には、その範囲を選択し、メニューの『編集』→『F0→0』を選択して該当部分を削除して下さい。
また、基本周波数は喉仏を通る際に声帯で発生する周波数のため、オクターブ分ずれた周波数も発生します。
そのずれた周波数の出力が大きい場合、本来希望する周波数の倍(1オクターブ上)や半分(下)の値を取っている
場合があります。
そのような場合は、その範囲を選択し、メニュー『編集』→『F0→*2』を選択し、該当部分を1オクターブ上げて下さい。
(これらの調整は、基本周波数の再計算を行うと全て元に戻ってしまいますので注意してください)
⑦
vsqファイルに書き出す
以上の作業が終わったところで、メニュー『ファイル』の『Vsq出力』でVsqファイルが出力されます。
出力されるVsqファイルは、基本周波数がPitchに、音量がDynamicsに変換されます。
この、音量→Dynの変換ですが、Vocaloid
Editor側でも音節ごとに音量を増幅させたり減衰させたりするため、
Vocaloid Editorの出力と大元のWaveファイルの出力の音量波形は全く異なったものになってしまいます。
ですが、人間の耳は音程(周波数)には敏感ですが、音量にはさほど敏感ではないのでこれで勘弁して下さい。
Vocaloid
Editorでの音量があまりにも違うと感じる場合には、Vocaloid
EditorのDynを直接いじる事によって
改善することができます。
3、
免責その他
本ツールを使った音源の使用に際して、こちらに連絡する必要はございません。
ただし、使用によって何らかの損害・問題等が発生した場合であっても、一切責任は取りません。